ブクログ




「ゲインズビル文庫」が、ブクログに登場!

(以下は後日追加の文。)

とだけ書いて、逃げてしまった。
本棚だけのエントリーに
「なんじゃこりゃ?」と思われた方もおられるだろう。

私が勝手に張り切っている「ゲインズビル文庫」。
今までフェイスブックやミクシィに、
長~い蔵書リストを載せて、ご紹介していたのだが、
物知りなお友達のひろこさんが、とてもいいサイトを教えてくれた。

それが『ブクログ』である。

誰でも無料でアカウントを開設でき、
自分の好きな本を検索して追加していく。
それがウェブサイトの本棚に並ぶのだ。
このバーチャル本棚、表紙を見ることが出来るのはもちろん、
本をクリックすれば作者、発行年月日などの詳細がわかるし、
色々な人のレビューを読むこともできる。

自分の好きな本を並べていけば、
なんとなくその人の色が出た本棚になるだろう。
愛読書に高い評価をつけている誰かの本棚を覗いて、
新しい本に出会えるかもしれない。

私の本棚はバーチャル図書館として機能中。
よりどりみどり、270冊の本が並んでいる。
実際に手に取ってパラパラめくるわけにはいかないが、
本の表情が見えるし、ずいぶん探しやすくなった。

地元の皆さん、どうぞご利用くださいませ~!

The Help

この夏、読んだ本の中で、心に残った一冊をご紹介したい。

the help
            『The Help』 Kathryn Stockett

舞台は60年代のアメリカ、ミシシッピー州の小さな町。
黒人差別がはびこるディープ・サウス(南部)では、
トイレ、店、水飲み場、居住区域までが 白人用/黒人用 に分けられていた時代。

白人の家で働く黒人のお手伝い(ヘルプ)という視点から、
この時代に生きる人々の声を、丁寧に書き込んだノベルだ。

本作は3人の女性によって語られていくのだが、
その中でもヘルプとして働く黒人女性エイビリーンの言葉は、私の心をグッと掴んだ。
ヘルプは家事一切を任せられ、家庭に子どもがいればベビーシッターも兼任する。
エイビリーンは白人の子ども達を何人も育てて来たベテランで、
その一人ひとりを我が子の様に愛し、かわいがる。

物語が語られる時点では、マエ・モーブリーという1歳の女の子の世話をしていて、
二人はとても強い絆で結ばれている。
マエ・モーブリーの母親は子どもとの接し方がわからない。
自分の服作りに没頭したり、友達との電話に忙しかったりで、
側にやってくる娘が邪魔で仕方がない。
母親らしいことは何もしない反面、
子どもの失敗を見つけて、体罰を与えるのだけは一丁前。
お尻や脚、そして気持ちまでも打ちひしがれているマエ・ボーブリーを抱きしめて、
「あなたはいい子。あなたはお利口。あなたは特別。あなたは素晴らしい。」
と繰り返しいいかせてあげるのは、エイビリーンだ。

彼女の子どもとの接し方、そして愛情にあふれた目線は、私の心を熱くする。
子どもが一番必要としているものは、彼女の様に全神経を傾けて、
見守ってくれる存在なのだ。

このほとばしる愛は、本を読み進めば読み進むほど、感動を深くする。
エイビリーンが背負っているもの、生きている時代背景を知れば知るほど、
彼女の愛はどこから来るのだろう、と思わずにいられない。

押しつぶされそうな状況下で、
もし私だったらエイビリーンの様に、たゆみない愛を注ぎ続けられるだろうか?

この愛に満ちた存在は、小説の中だけではなかった。
60年代、実際に黒人のヘルプに育てられ、彼女達との温かい記憶を持つ人々が、
この本に触発されて彼女達を探したり、手紙を送ったりしているという。
なんて、なんて、すてきなことだろう。


一人一人の心の中には、そんなかけがえのない存在としての黒人女性達がいるのに、
60年代の社会では、黒人が当然のように差別され、
それを取り締まる法律が沢山存在していた。

この物語は、そんなジレンマから生まれた勇気ある声を軸として、
スリリングな展開を繰り広げ、読み出すと止まらなくなる。
あらすじは詳しく書かないが、
ドラマチックであり、ユーモアにも満ち、
登場人物の思いがじんわりと心にしみ込んで来て、
本の表紙の色のような温かい気持ちになる。


原作と同名で、早くも映画化されている本作は、
全米で興行収入第一位に輝いたばかり。
映画の出来も期待できそうだ。
日本では原作がまだ出版されていないようなので、
もしかすると映画の方が早く海を渡ってしまうかもしれない。


愛と希望に触れられる逸作。
特別な本が一冊、我が本棚に加わった。



David Sedaris

今夜は一人でお出かけだった。
ユーモア作家のデイヴィッド・セダリスがフロリダ大学に朗読・サイン会にやってきたのだ。

彼の本は殆ど読んでいる。
英語の本で声を出して笑ってしまう事は、残念ながらまだあまりないのだが、
その稀少な体験をさせてくれたのが、彼の書いたエッセイたちなのだ。
彼がこの街にやってくると知ってすぐ、9ヶ月も前からチケットを購入してあった。


開演40分ほど前、早めについてよかった。
ロビーでサイン会が行われていて、すでにかなりの人が並んでいた。
本物のセダリス氏がテーブルに座り、にこやかに会話をしながらサインをしている。
その彼に向かって一歩、また一歩と近づいて行く度に胸が高鳴った。
誰も彼も、初対面の筈なのに会話が弾んでいる様子。
こんなに緊張しているヤカラは私一人らしい・・・と焦りながらも、ついに番が来た!

事前に渡されていた紙に、自分の名前を書いておいたのだが、
それを一目見てセダリス氏は「日本人だね」と言い、
そこからは日本語で色々と質問を投げかけてくれた。
彼の本の中で、私が気に入っているエピソードの一つは
セダリス氏が日本に滞在して日本語学校に通う、というものなのだが、
正直こんなに流暢に話せるとは期待していなかった。

本にもしっかりサインしてもらって ハァ~ すでに幸せいっぱい。

朗読会は何度も笑いの渦を巻き起こし、あっという間に終わってしまった。
彼は日々の中で印象に残ったことを書きとめ、毎日日記を書いていると言う。
普段なんでもないと思っていることでも、彼の切り取り方、語り口で
沢山の人が笑う傑作話になってしまうのだから、やはり類稀なる才能の持ち主だ。


朗読会の最初と最後にセダリス氏が語った、この街で一番強烈な印象は
なんと!
私がいつも息子にねだられ、ねだられ通っている、爬虫類ショップであった。
セダリス氏は大のヘビ嫌いらしく「あんな悪趣味な店があるとは!」と繰り返した。
終いには、常に持ち歩いていると言う小さなメモ帳を胸ポケットから取り出して、
「あんなカメは初めて見た、え~と『マタマタ』だって。
2ドルで餌付けできるって書いてあるんだよ、誰がするんだろうね」

うちの息子です。
と、もう一度サインの列に並んでお伝えしたいくらいだった。


思えば今日の昼間、その店のすぐ傍を通って息子に(毎回の事だが)
「爬虫類のお店、行こうよ!」と言われていた。
もしあの時、店に立ち寄っていたら、セダリス氏と鉢合わせていたかも・・・。
我が息子が彼のプライベート・ツアーガイドになって、
店中を説明して回っていたかも・・・。
などと妄想は膨らむ。

そんな光景を頭の中に描いていると、遠き高みにいた作家様が
ずいぶん身近に感じられたりしてしまうから不思議なものだ。
いつか、このフロリダの小さな街の「悪趣味な爬虫類ショップ」が
彼の本に登場する日を心待ちにしようと思う。

今夜の夢の中では、我が愛車のトラック助手席にセダリス氏が座っているやも知れない。
後部座席に爬虫類マニアの息子達とカメのマタマタを乗せて。