『さかなの海をつくろう』

東日本大地震の被害を受けた、ふくしま海洋科学館「アクアマリンふくしま」。
その復活を応援するプロジェクト『さかなの海をつくろう』のことを知った。

このプロジェクトが素晴らしいのは、参加資格が「子どもたち」であることだ。


次男は震災直後、テレビの映像を見、私の話を聞いて、
「日本には行きたくない。だって住むところも食べるものもないもん。」
としばらく言い続けた。
彼の中に、崩壊した日本の絵がしっかりと刻まれてしまったのだろう。


今、日本は復興という長く険しい道のりを歩き始めた。
しかし子どもにとって「復興」という言葉は抽象的すぎる。
何をどう立て直して、もとに戻すのか、
長い時間をかけて、人や場所が立ち直っていく過程を
言葉で説明してもピンと来ないはず。
頭の中に浮かぶイメージが具体的であれば具体的なほど、分かりやすいはずだ。
そして「応援したい」という気持ちを持つこと、
それを行動に移すことは大事だ。

また、次男の中の「日本像」が、瓦礫の山で静止しているのもいけない。
取り戻したい家を、街を、
みんなが遊びにいける水族館を、
魚の住める場所を、
綺麗な海を。
目指すゴールは、具体的であれば具体的なほどいい。

「地震で壊れてしまった水族館をきれいにして、直しているんだって。
それを応援するために、絵を描いてね!」

海の生き物が大好きな我が息子たち。
張り切ってこのプロジェクトに取り組んでくれた。
「日本全国の子ども達に描いてほしい」とサイトにはあるが、
フロリダからだって応援したいんだ!
そんな気持ちを込めて、3枚づつ描いた子どもたち。

sakana drawing

色んな海の生き物が描かれた葉書が沢山集って、
大きくてカラフルな海の絵ができたら、
それはそれは壮観だろう。

募金活動

フロリダ大学の学生達が種をまいてくれた、日本への義援金募金活動はすでに実をつけ始めている。

春休みが終わったフロリダ大学で、アジア系学生の団体、日本クラブ、
大学側の学生の活動を支援する機関などの代表が集った。
そこで生まれたのが『Hope for Japan』という日本支援組織。
さらに20ほどの団体が加わり、大きく力強い支援運動が始まろうとしている。

活動の始めとして、メモリアル・セレモニーが木曜日の夕方に開かれた。
告知が行き渡っていなかったにも関わらず、大勢の学生や大学関係者が集ってくれた。
その顔ぶれは人種・性別・年齢も様々だったが、どの顔にも日本を思う気持ちが見て取れた。
あまり言葉を交わす人はなく、しんみりとした雰囲気の中で、
大学代表者、学生組織代表者、日本に留学していたという学生がスピーチをし、
そして日本人を代表して、女性が日本の友人からのメールを3通読んだ。

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セレモニーの後、学生達が手作りで準備した募金箱には沢山の募金が寄せられた。

一人ひとりの顔を見ながら、お礼を言う度に涙が出そうになる。
優しい笑顔を向けてくれる人、
真剣なまなざしで見返してくれる人、
心配そうにしながらも軽くうなずいてくれる人、
「がんばって」と声を掛けてくれる人。

募金活動は被災者に義援金を送ることが目的だ。
しかしその過程で私たちが優しさや思いやりに触れることは、私たち自身の癒しの体験でもある。
助けの手が募金箱に伸びる度に、希望の光が少しづつ心に差す。

私たちが感じているこの希望の光を、被災地に届けたいと強く思う。

クッキー

フロリダ大学の学生が中心となって、日本の地震・津波被災者を支援するグループが始動した。
2週間で5000ドルの義援金を集めるのが目標だ。

活動を開始した土曜日は、大学の春休みと週末が重なり、キャンパスでは収益が見込まれない。
そこでガールスカウトなどがよくやっている、
大きなスーパーマーケットの前にブースを立てる、という案がでた。
しかしスーパーマーケット側は
「本社の許可が必要。申請から実際に募金活動をできるまでには少なくとも2週間はかかる」
と言うのだ。

さらにEメールを在住日本人の間でメールをやりとりするうち、
「集った募金をAmerican Red Cross(アメリカの赤十字社)に送るのは得策ではない。
時間が掛かるし、お金ではなく物資の供給になってしまう。
さらに一定の額を越えると日本の地震被災者ではなく、他のチャリティーに回す、
とウェブサイトにある」
という意見が出た。
むしろ被害の深刻な地域へ、直接国際送金するのが確実なのではないか、と。

この意見はごもっともだ。
しかし学生が集って「日本に送金するので募金をしてください」では
信用してもらいにくい。
国際的に名の知れたRed Crossに収益金を送る、と行き先を明確にすることで、
アメリカ人は募金をしやすくなると予想される。


街頭募金が一番効率のよいやり方だ、とは言い難い。
けれど私は、数名の有志から始まったこのグループが発信する
強烈な「やる!」というエネルギーに賛同せずにはいられない。

私達にも何かができる。
体当たりで、手作りで、出来ることをやろう。
そんな若い力が、元気が、今必要なのだ。


週明けには大学内のキャンパスで募金活動をできるように申請をしているそうだ。
ブースにはクッキーを用意して、最低1ドルからの募金をお願いする。
私も早速、そのためのクッキー作りにとりかかった。
市販のクッキー・ミックスを3種類買ってきた。

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チョコレートチップ・クッキー2種類

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日の丸クッキー

これは「シュガークッキー」の素を使い、
冷めてからクッキー・アイシングの赤で丸を描く。
次回からは旗に見立てて四角のクッキーがいいかもしれない。

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これをラップでひとつづつ包み、リボンで閉じる。
学生が作ってくれた小さなメモを、自宅にあった和紙風の紙に印刷してつけた。

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合計50個のクッキーが焼きあがった。
これから有志を募って、同様のクッキーをどんどん生産してもらう予定だ。

ひとつ、ひとつ、クッキーに日の丸を入れながら、
「がんばれ!がんばれ!」と胸の中で、故郷に呼びかけている。

大地震

日本の東北地方、太平洋側でM8.8の大地震が起こった。

アメリカでも早朝から各局が地震のニュースを報道し、
想像を絶する地獄絵の様な映像が何度も何度も流れた。

唖然としてテレビのスクリーンを見つめたまま、信じがたい光景に釘付けになった。
5分間も続く揺れ。
30分後に押し寄せる津波。
空に聳える巨大なビルが揺れる。

月2回集っている地元の日本人ママ・グループの集会が午前10時半からあった。
そこに集ったメンバーも、それぞれ不安げな顔をしながら、
知っている情報を交換し合い、日本の家族や友人の心配を吐露し合った。

地球を半周離れた場所から故郷の愛する人々の安否を気遣う心情は
もどかしく、心許ない。
その場に集った殆どの人が家族と連絡が取れ、無事を確認できていた。

私はと言えば朝、新潟の家族に電話をかけるも、
回線が込み合っているというメッセージが流れるばかり。
メールを送っても返信が来ない。
唯一、東京に住む弟から返信メールが来たのだが、
「ガラスが刺さって痛いよ~、今病院で待ってる」
というもので、さらに不安が募った。

午後に帰宅してからも落ち着かず、家事をこなしながらも
ちょくちょくインターネットを通して地震情報を探し、
Mixiに書き込まれる友人のコメントで勇気付けられる。

テレビで見た映像と、友人の描写する地震後の光景が
頭の中でグルグル回り続けた。

夕方になり、もう一度スカイプで実家に電話を掛けると
父親の声が答えた。
安堵感が一気にこみ上げて来て声にならず、涙ばかりが溢れる。
父親はのんびりすぎるほどの声で大丈夫だ、と言う。
あぁ、よかった。


今こうしている間にも、日本の友人は数日分の白米を炊き、
水や懐中電灯を確保している。
私がメソメソしている間にも、寒さや物品不足の中で
避難所に肩を寄せ合っている人々が数え切れないほどいるのだ。
これから長い長い時間をかけて『普通の生活』へ向けての復旧と
癒しの作業が行われるはずだ。

遠くからでもできることを探そう。
日本の皆さんが、一日も早く安心して暮らせますように。