『The Liverpool』

先日、2011年のプロジェクト第一号 『The Liverpool』について書いた。
リンク先を辿ってくれた方は、型紙パッケージの素敵なモデルさんを見ていただいたかと思う。
本日は ドドン! と XL バーションで。


tunic front

tunic back


『The Liverpool』の型紙も使用している生地も、共にエイミー・バトラーのデザイン。
エイミーさんとの出会いはあるインテリア雑誌だった。
彼女の生地を使って作ったランプ・シェードを見て、久しぶりにビリビリ!と来た。
それ以来、ウェブサイトをちょくちょく覗いたり、
ebayやウェブ上のファブリック・ショップで、彼女の生地を物色している。

幾千と並ぶ『花柄』の中でも、エイミーさんのデザインにものすごく惹かれる。
花や植物、自然をモチーフに、リアル且つ、絶妙の切り取り方と配置。
難しいアートなウンチクは分からないが、
とにかく私のツボに連続ホールインワン!


自分の好きなものに出逢った時の興奮と喜びは格別だ。
パズルのピースが一つ、しっくりと収まるべき所に収まった様な、
自分という人間の完成に、一歩近づいた様な、
そんな感動がある。

蜂蜜の秘密

今日はオフィスに蜂蜜おじさんがやって来た。
彼もイランからの移民だが、両腕にでかい刺青を入れて、
大きな石のついた指輪やペンダントを幾つも付けている、
あまり見かけないタイプのイラン人だ。

そんなイカツイ風貌の蜂蜜おじさんは、
自然保護区の森林地帯に隣接した土地で農場をやっている。
そこで完全オーガニックの野菜や果樹を育てている。
しかしそれを売って生計を立てているわけではないらしい。
その有機無農薬の土地に生える果樹や野生の花はむしろ、
それを飛び回って自然の蜂蜜を集める蜂たちのため。
つまり養蜂場が本業だ。

彼はトラックに蜂蜜の瓶を積んで近隣の町の顧客を回ったり、
時にはニューヨークなど遠方まで出掛けて行く。
うちにも2,3カ月おきにやって来て、蜂蜜についてのためになる話をしてくれる。

彼に出会うまで知らなかったのだが、普通の店で売られている蜂蜜は、
その殆どがコーンシロップなのだそうだ。
蜂は花から花へ飛んで蜂蜜を集めるのではなく、
コーンシロップに群がって、それを巣へと運んでいるだけ。

「蜂蜜は万病の薬」と蜂蜜おじさんは豪語する。
あるおばさんが蜂蜜を毎日顔に塗ったらものすごく肌艶がよくなり、
胃潰瘍の痛みも1スプーン舐めれば20秒で消える!
という話を今日は聞かせてくれた。

胡散臭そうに横目でにらむオスカー。
そうしながらもオスカーは、毎日飲むお茶に欠かさず蜂蜜を入れている。
なのであっという間になくなってしまう。
蜂蜜おじさんも、前回紹介した移動八百屋同様
いつやってくるかわからない気ままなスケジュール。
たまたま蜂蜜を切らしていた所、友人のトムがクリスマスプレゼントに
どこかの養蜂場から大瓶の蜂蜜を買って来てくれた。
これまた自然な感じで良さそうな品だった。

蜂蜜おじさんはその瓶を目ざとく見付けた。
「この蜂蜜はダメだな」と蓋も開けずに言うおじさん。
「どうしてわかるの?」と私が訊くと、
意味深な微笑を浮かべたおじさんはトラックから自分の蜂蜜を持ってきた。

honey.png

一瓶の蜂蜜の中には蜂の巣が一緒に入っていて、その形をよく見るように指示された。

おじさんはまず、自分の持って来た蜂蜜を一匙すくって皿に入れた。
そこに水を入れ、縦・縦・縦・横・横・横と十字を切るように皿を何度か揺する。
すると摩訶不思議!
蜂蜜に蜂の巣の模様が浮き上がってきたではないか!!

次にトムの蜂蜜を同じように皿に入れて揺すってみる。
全く変化なし。
ドロリとした蜂蜜が水の中にあるだけ。

おじさんも理屈は分からないが、本物の蜂蜜は巣の形を覚えているかの様に模様を描く。
しかしコーンシロップが混じるとその反応は出なくなる。
これほど明瞭な本物と偽者の見分け方があるとは!

恥ずかしながら大興奮してしまった。
私もちょっぴり心の中で「ハッタリ」呼ばわりしていた蜂蜜おじさんだったが、
今日の誤魔化し様のない自然の神秘を見せ付けられて、一気に株が急上昇。


ご自宅に蜂蜜があったら、ぜひ試してほしい。
さて、美しい蜂の巣模様は浮かび上がるだろうか?

新鮮野菜

cuc
「宝箱 ふたを開ければ キューカンバー」

写真では分かりにくいと思うが、この箱は日本のみかん箱くらいの大きさがある。

アメリカのきゅうりはズングリと太く、皮も厚い。
スーパーマーケットに並ぶきゅうりはどれもテカテカ。
手に取ると指先がツルツルするほどの大量のワックスが塗ってある。

でもこのきゅうりはワックスが塗っていない、自然なまま。
早速洗ってかじってみると、やはり厚い皮は少々気になるが うまい!
新鮮だからだろう。
みずみずしくてきゅうりの味がする。
と、書くと当たり前のようだが、この当たり前の味がしないきゅうりが沢山あったりするのだ。


さてこのきゅうり、お店で買ったのではない。
車屋のオフィスに、黒人のおっちゃんがトラックに色々な野菜や果物を積んでやって来るのだ。
果物が大好きなオスカーはいつも箱買いするので、
うちはおっちゃんの商売ルートにしっかり組み込まれている。

green

南部料理、『ソウルフード』には欠かせないグリーンである。
この見慣れない野菜も、オスカーが2袋も(!)買った。
これは『マスタード』と呼ばれる種類で、少しスパイシーな風味がある。
おっちゃんにレシピを聞いて、早速作ってみた。

green2

ターキー・ネックを燻製にしたものや、ベーコンを一緒に煮てフレーバーを出す。
が、どちらも冷蔵庫になかったのでチキンで代用。


移動八百屋のおっちゃんは、実は2人いる。
この2人が不定期にやってくるので、オレンジを大量に買い込んだ直後に
またもやオレンジを山盛りにしたトラックが登場!
なんてことも度々ある。

おっちゃん達から野菜を買い始めて数年後、ビックリの事実が。
なんと、おっちゃん達は兄弟だった!!

いつか、彼らのスナップショットもここに載せてみたい。

2011年の抱負

2011年の抱負は『クリエイティヴな年』。

年明け早々、昨年から滞っていたプロジェクトを引っ張り出してきた。
The Liverpool」と名前のついた、市販の型紙を使ってチューニックを作る。


創作作業は自分を知る作業でもある。

型紙に沿って布を裁断する段階から、自分の大雑把さを思い知ることになった。
少しずれた、と思っても「まぁ、いいや」と頭の中で声がする。

「自分は指示にしっかり従える方だ」という過信も、脆く崩れ去っていく。
裁断されたパーツは、前パーツと後ろパーツの長さが明らかに違う。
「?」と思いつつも、まぁどうにかなるだろう、と敢行してしまう。

なんだか合わない部分も、半ば強引にくっつけられる、としか思えない。
強行突破のオリジナル・アレンジ続出。


おぉ、なんと!
料理と同じではないか!!


そうして出来上がったチューニック。
「ちゃんと着れる!」ということで感動。
万事OKになってしまうからおめでたい。
こういう風にして自分が作られてきたのだなぁ。
なんて妙に感心してしまうのだった。

昔から手芸は好きで、小学生の頃から『手芸クラブ』に入っていた私。
家族に電話でプロジェクトの話をしていると
祖母「(フロリダ娘)が洋裁なんて、意外らなぁ」
母「昔から作るの好きだったわぁ。まぁ、うまい・下手は別にして」
祖母「好きこそもののなんとかって、言うしねぇ」
母「う~ん・・・・・」

しぶい返事でお茶を濁す母よ。
下手なら下手って、ちょっと言ってほしかった、気もする。
でも下手って言われてたら苦手意識ができて、好きではなくなっていたのかも。

私の中の『自分』という人間像が揺らぐ。
ブルース・ウィリスが『シックス・センス』の結末で感じる衝撃並みにドラマティック!!
(は、ちょっとオオゲサだが。)


他にはどんなことが「実は」できないのだ!?
と不安になる今日この頃である。

(出来上がった作品は、また後日)

ゼレシュク・モルグ

自慢じゃないが、私は料理が苦手だ(自慢げ)。
レシピに忠実に作ることができず、センスがないくせに思いつきでアレンジしてしまう。
味見をするのを忘れる。
月一回、日本人女性が集る「お料理の会」に参加しているのに、なかなか上達しない。

「毎日何を食べてるの?」
と時々訊かれる。
ごもっともな質問だ。

日本人とイラン人がアメリカに住んで一つ屋根の下で暮らす。
その食卓にはどんなものが載るのか?

ということで、時々我が家の夕食をご披露しようと思う。
(うまく出来た時 のみ・・・)

ゾレシキ・ポロ
ゼレシュク・モルグ

本日は鶏肉を丸ごと圧力鍋に入れて煮た。
調味料はサフラン、塩、臭み消しのネギ。
普段は入れないが、今日は大きめに切ったニンジンを入れて得意の(!)アレンジ。
最後に少しだけ砂糖をふりかけたゼレシュクをフライパンでサッと炒めて照りを出し、上からかける。

ゼレシュクとはバーベリー、日本語ではスグリの実の一種とか。
このルビーを思わせる、鮮やかな赤で料理が一気に華やぐ。
うちの次男坊は少し酸味のあるこの実が大好きだ。


べジー・グラタン
べジー・グラタン

わが父がレシピも見ずに始めたホワイトソースから作るグラタンは、
今では実家の人気料理だそうだ。
母にそう聞いて、無性にグラタンが食べたくなってしまった。
本日は一番下に炒めたジャガイモとターキー(ハム状のサンドイッチ用)、
その上に太目のマカロニ、
その上にトマトとブロッコリーを載せた。
ホワイト・ソースは全粒粉を使って作ってみた。


バスマティ・ライス
バスマティ・ライス

インド産の長~いお米が我が家の主食。
本来は鍋で茹でて、ざるに空けて湯を流し、油をひいた鍋に米を戻して炊き上げる。
横着者の私は炊飯器に少量の塩と油を入れて炊いている。
この方法だと『タディーク』と呼ばれる、名物おこげができないのが難だが、
まぁ、それなりにおいしく炊ける。

ちなみにこの『タディーク』をうまく作れるようになったらイラン人の妻として一人前。
それは私にとって、遠い遠い夢物語だ。

車屋のオフィスにて

わが夫、オスカーはこの大学街で中古車業を15年ほどやっている。
私も事務担当で手伝いをして、気がつけば今年で10年目。

毎日色々な人がやってくる。
学生時代は極端な話、誰にも話しかけなくても一日が過ごせてしまったけれど、
ビジネスをやっていたらそうはいかない。
お客さんはもちろん、パーツ屋の配達のお兄さん、同業者、友人知人などなど、
色々な人が入れ替わり立ち代りやってくる。

人間、慣れればたいていの事はできるものだ。
シャイだったはずの自分も、ニコニコ陽気に世間話を出来るようになった。
今日はどんな人がやってくるのだろう?
と楽しみだったりもする。

州立の大きな大学を中心に発展したこの町は、留学生も多く、大学の職員も多国籍。
故にお客さんの顔ぶれも国際色豊か。

今日は台湾から到着したばかりのファミリーと、日本から到着したばかりの青年が、
何の縁か、車屋のオフィスでテーブルを囲んで座ることとなった。
週2日お手伝いに来てくれているアメリカ人のステイシー、
小遣い稼ぎのプエルトリコ人、ホゼも加わって
あっという間に5カ国代表が出揃う。

すかさずイラン人特有のホスピタリティーでメロンを振舞う、わが夫。
日本の物価の高さ、台湾人のお父さんのヘビの研究、アメリカン・ガール的ボーイフレンドの選び方・・・
話は途切れることなく、多岐に渡る。

「イランは女性の地位が全く保障されていないだろう?」と台湾人のお父さん。
「それは違う」と説明を始めるオスカー。
イランに行った時の私の経験談も交えながら、
イランの女性は社会的地位も職業もあること、
家庭内でもしたたかで頑張り屋のお母さん達が肝心要なこと、
などを語る。


国際色豊かというのは、ただ上辺がカラフルなだけではない。
こうして色々な文化からの人間が出会い、話し、疑問を投げかけて
理解し合って、本当の豊かさを育んでいく絶好の機会がそこにはある。

行ったことのない国の実情は、その国から来た人に真摯に聞いてみるべきだ。
「差別だ」「偏見だ」と目くじら立てずに、誤解があればそれを解けばいい。
恐れずに話せる、訊けるチャンスがあればあるほどいい。

この小さな車屋のオフィスでメロンを食べながら、
小規模だけれど重要な国際サミットが、
今日も行われている。








ブログ開設!

人生の醍醐味は出会いである。
人と出会い、場所と巡り会い、いくつもの偶然の様な必然が重なって、
運命の糸が絡み合いながら、複雑で鮮やかな人生模様が描かれていく。
人と出会う時、何をきっかけとして糸がからまるか。
それは共通点とか、共有できるものがあることではないだろうか。

10年以上前、このフロリダ州のとある大学街に、たった一人で引越してきた。
留学という夢の実現に恍惚となりながら、日本にいる家族や友達に向けて手紙をよく書いていた。
自分の身に起こったことを繰り返し手紙に書くのも面倒だ、と思い立ち、
手書きで自作イラスト入りの不定期発行物『フロリダ娘』を作り始めた。

そんな誰も知らない歴史のある名前を、このブログにつけることにした。


このブログがどのくらいの人に、何度くらい読んでもらえるかはわからないけれど、
記念すべき第一号は私という人間を箇条書きで紹介しておきたい。
一つでも接点があったら、ちょっと気になる存在になれるかもしれない。

・19歳の時、留学の為渡米
・アメリカのフロリダ州 在12年目
・イラン人と国際結婚(渡イ経験3回)
・6歳、3歳の息子2人の母親
・中古車業の事務担当
・定時制夜間高校卒
・新潟出身
・映画・読書好き
・現在、何かを作る熱に蝕まれ中

どうぞよろしく!