8人家族に?

アメリカ抽選永住権(Diversity Immigrant Visa Lottery)をご存知だろうか?

これは書類手続きをして当選すれば、アメリカの永住権が手に入る、という移民受け入れ制度だ。
「歴史的にアメリカへの移民率の低い国の人々が対象」とあり、
これには日本も含まれている。
高校卒業資格を有する者、または過去5年間に2年仕事に就いている者、
という応募資格はあるものの、広く開かれた門である。
アメリカはこの「抽選」という方法で、
毎年世界各国からの移民を50000人受け入れているのだ。

なぜ突然、こんな事を書き出したのか、と言うと、
知人でこの抽選永住権を取得した人が現れたからだ。

知人とは言っても、我が旦那・オスカーがその昔、
イランのとある村で小学校に一緒に通った同級生の、その娘。
つまり、他人である。
もちろん私は面識がなく、オスカーでさえ、その小学校の同級生とは
10年ほど前にイランに帰郷した時に再会した、という程度。
その娘となれば、本当に全然知らない人なのだ。

同級生はオスカーに「娘の移住の手続きを手伝ってくれ」と言ってきた。
アメリカ政府は当選者に対する補助は全く行っていない。
移民は、アメリカで生活保護を受ける必要がないことを証明する書類を
移住してくる前に提出しなければならない。
そこでオスカーに「扶養宣誓供述書」を準備してほしい、と言う。

それをしてしまうのが我が旦那。
(実際の書類を準備するのは、この私。)

その時点で送られてきた情報で、どうやら移住してくるのは4人という事実が発覚する。
オスカーの同級生の娘・Rさんと、その夫・Mさん、
そして双子の娘EちゃんとMちゃんは11歳。

うちの4人家族に加えて、もう4人を扶養できるほどの貯えなんて
到底提示できないぞ、と思いつつ、
半分やけくそ、半分開き直って準備できる書類を揃えて送ってやった。

すると、6月初めにビザが発給された、との連絡が入った。
そして「どうやら、ここに来るらしい・・・」とつぶやくオスカー。

この展開はどうだろう?
オスカーと暮らしてきて、急なお客さんや親類登場はよくあることなので、
もう慣れてしまったけれど、移住してくるとなると話は違う。

アメリカに来てどうするのか?
この街に住むのか?
仕事のあてはあるのか?
色々尋ねてほしいのだが、それも全くしないオスカー。
それどころかいつ到着するのかも、ハッキリ分からない状態であった。

そうこうしているうちに、6月も後半になったある日、
Rさん本人から直接メッセージが届いた。
彼女は英語が書ける=話せる、と言うことにまず一安心。
私は思い切って「いつ到着するの?」と訊き、
「フロリダで生活したいの?」と尋ねてみた。
そうして初めて7月4日の飛行機で家族4人がやってくる、ということが確定したのだった。

さぁて。
近くのホテルに滞在させればいいだろう、と言うオスカー。
しかしイラン人の(オスカーの)ことだから、ホテル代もうちが払って、
朝昼晩とご飯の心配をして、あちこちへ連れていく度にホテルへ送迎・・・
なんて事になるに違いない。
それなら、当座は我が家に泊まってもらい、サッサとアパートを探してもらった方がいいのでは?
などと、話しつつも、先方は何をどうしようとしているのか皆目見当つかず。
(オスカーに「訊いてくれ」と言っても何も進展しないので、もう諦めている。)


それにしても、家族4人で移住とは、なんという勇気!
私自身19歳の時に留学生として渡米したが、
守るものも失うものもない、身一つの若者だったわけで、
それとは随分わけが違う。
アメリカは新天地、とは言っても、小さい子ども2人がいて、
Rさんは30代後半、ご主人のMさんは40代前半。
しかもMさんはイランで銀行員をしているらしい。
そこそこ良い暮らしをしているはずだ。
それを全て投げ打って、0からの再スタート。
すごい思い切りだなぁ、と、私には信じがたい思いであった。

そんな人が毎年50000人もこの国に押し寄せているとは!


いやいや、感心している場合じゃない。
8人家族になるのだ。
この小さな家の人口が2倍になる、とはタダゴトではないぞ。
掃除が苦手な私なので、日頃のツケが溜まりに溜まっているわけである。
もちろん週末は連日大掃除。
大きい方のベッドルームから、私達の洋服をゴッソリ移動させて、
移民一家に使ってもらうことにした。
使い古しのシーツや枕カバーでは悪いので、急いで新しい寝具も購入。

結局こうして準備するのは、ぜーんぶ私なんじゃん!
と、ブツクサ言いながらも、どうにか4人が到着しても大丈夫な状態に持って行く事が出来た。
私ができる限りの準備を終えてしまえば、もう何でも来い!

この時は、本当にそう思っていたのだ・・・

(つづく)
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