小屋の中の孔雀

以前書いた「ご近所トラブル」以来、我が家の9羽の孔雀達は
2つの小屋に2羽、7羽で分けられて籠の鳥状態になっていた。
今までずっと自由気ままに歩き回っていたのに、
天地がひっくり返った様な驚き様だろうと思う。

孔雀達を閉じ込めてから数週間後のある日、
オスカーはオフィスで働いてくれているステイシーに
「孔雀売ります」と広告を出す様命じた。
どう言う心境の変化が起こったのかは定かではないが、
もっと伸び伸び暮らせる場所へ行ってくれるならこれ幸い、と思った私は
下手に根掘り葉掘り尋ねないことにした。

広告を出してしばらくはなんの音沙汰もなかったので
内心がっかりしていたのだが、
やがてちらほらと電話やテキストメッセージで問い合わせが来始めた。
広大なアメリカという国では
孔雀も需要があるんだなぁ、と感心。
孔雀の醍醐味と言えばあの美しい羽根だが、
その羽根を持つオスではなく、メスを欲しがる人が多いのには驚いた。
どうやら世の中には孔雀を繁殖させたい奇特な人がごまんといらっしゃる様だ。
さらには「卵は売っていないのか?」と言う問い合わせもあった。
卵を人工孵化させるつもりなのか?
鳥よりも安価なのは確か、なかなか考えたものだ。
クリスマス前には問い合わせがピークに。
どうやら「今年のプレゼントは孔雀!」と望むファンキーな人がおられるらしく、
1羽、また1羽と引き取られて行った。
現在残り5羽。

広告は出してみたものの、いざとなったら
「最初のペアは売れない」と言ったり、
「今年産まれた5羽のうち、2羽はメスみたいだから売れない」だのと、
今更後ずさりするオスカー。
結局4羽は残ることになりそうだ。
メスを残す、と言うことは、さらなる繁殖を目論んでいるのか。
ここまで来ると呆れると言うより、むしろ病的?
何かのトラウマ?

そう言えばずっと以前、ハトをたくさん飼っていた時に
「どうしてハトが好きなの?」と問うて聞いた話。
それはオスカーがまだ幼い頃(10歳前後と想像する)。
村の枯れ井戸の中に沢山のハトがいて、
自分のペット同然に餌をやったり、
ちょくちょく足を運んで見ていたのだそうだ。
ところがある日、その秘密の場所をお父さんに見つかってしまう。
仕事の手伝いをサボって何をしてるかと思えばこんな所に来てたのか!
烈火のごとくに怒ったお父さんに追い立てられて畑に行ったが、
それでもハトが好きで好きで、それからも時々は井戸に行かずにはいられなかったと言う。
ある日井戸へ行くと、何十羽というハトが全部死んでいた。
オスカー少年は恐怖と悲しさで震え上がった事だろう。
しかもハト達は全て首を折られ、殺されていた。
他でもない、オスカーの父がもう仕事をサボらない様にと
手を下したのだった。
だから大人になってこうしてハトを飼うことが出来て嬉しいんだ、と
教えてくれてオスカー。

やはり、きっと、それはトラウマに違いない。
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